- -1 アヅミンを効果の面から説明して下さい
- アヅミンは腐植酸を補給する資材ですから、堆肥と同様の効果が期待できます。大きくわけて次の3つの効果が挙げられます。
- 地力を高める効果。
地力の指標となる腐植酸含量、陽イオン交換容量(CEC;保肥力)、pHの変化に対する緩衝能、土壌の団粒構造(通気性、保水性)を向上させます。 - 肥料効果を高める効果。
陽イオン交換容量が大きくなりますので、肥料成分を保持する能力が高まり、流亡が少なくなります。特に、肥料の三要素(窒素、りん酸、加里)の効果促進、りん酸の固定化防止・可溶化効果、加里の固定化防止効果が重要です(図-2)。
- 根の活性を高める効果。
アヅミンに含まれる腐植酸のうち、主に水溶性の成分により、根が活性化され、養分の吸収、及び根の伸長を促します。
1~3の相乗効果により、作物の品質向上・収量増加が期待できます。
また、アヅミンは堆肥に比べて腐植酸が30倍以上含まれていますので、堆肥1tで補給できる腐植酸を、アヅミン30~40kgで補給でき、作業が省力化できることも効果の一つと言えるでしょう。 - 地力を高める効果。
- -2 アヅミンは、りん酸の肥効を高めることができますか?
- りん酸質肥料は多種多様にありますが、いずれも土壌に施用した場合、作物に利用されるのはわずかに10~15%にすぎないと言われています。その原因は、りん酸が土壌中の鉄、アルミニウム、石灰により不溶化するためです。ですから、りん酸の肥効を高めるには、(1)りん酸の固定化を防止、(2)難溶化したりん酸を可溶化すればいいわけです。
アヅミンに含まれる腐植酸は、鉄、アルミニウム、石灰と安定な化合物を生成し、りん酸との反応をさまたげ、固定化を防止すると考えられています。(表-1および図-3)。
また土壌中に集積した難溶性のりん酸塩に腐植酸を添加すると、腐植酸が鉄、アルミニウム、石灰と錯体を生成し、りん酸が放出(可溶化)されます(図-4)。
従って、りん酸肥料と腐植酸肥料の併用は、作物のりん酸吸収を著しく増大させることができます(図-5~8)
- -3 アヅミンは植物の根にどんな作用がありますか?
- 植物の養分吸収量は、養分の入り口となる根の量や養分吸収能(根の活力)に大きく左右されます。アヅミンの腐植酸の特長の一つとして、水溶性の腐植酸が多く含まれ、このことが植物の根の活性化に寄与しますが、さらに詳細に説明すると以下のようになります。
アヅミンの施用によって根の伸長が著しく良くなる結果が得られています。(図-9)。この現象は、根の伸長に関わる植物ホルモンの「オーキシン」の作用によく似ています。アヅミンに含まれる腐植酸が、根の生長点に何らかの刺激、あるいは促進効果を与えるためと考えられています。
細根量の増加(図-10および表-2)については、これらの生理作用に加えて、アヅミンの施用により根圏環境の物理性が改善されたことも要因として考えられます。
アヅミンの水溶液を使った水耕栽培で、根の呼吸活性を調べた結果を図-11および図-12に示します。呼吸が活発になることが根の伸長とも関わっている考えられます。各作物ともアヅミン施用区で根の活性が高まっています。
- -4 アヅミンが天候(環境)不良なときに力を発揮するのはどうしてですか?
- 作物を栽培する場合、いつも最適の条件で栽培できるわけではありません。光、水、温度、養分、酸素などの環境要因が複雑に組み合わさり、いずれかが不足したり、過剰になると収量が著しく低下してしまいます。
図-13に示すように、腐植酸(アヅミン)を施用して土づくりをすることで、これまで説明してきた腐植酸の様々な機能により、こうした不良環境にある時にこそ、作物の安定生産がはかれます(図-14~図-16)。
低温条件では、養分吸収、特にリン酸や加里の吸収が阻害されます。アヅミンが施用された土壌では、低温下でも養分吸収が円滑に行なわれます。
わが国には火山灰土壌が広く分布しています。 黒ボク土とよばれる火山灰土壌は、その色が示すように腐植を多く含んでいます。しかし、酸性で容易にアルミニウムが遊離する(含まれている粘土鉱物アロフェンが結晶化していない)ため、土壌腐植酸と結合して、微生物による分解を受けにくい形になっています。それ以外にも遊離のアルミニウムがあるため、リン酸固定力が大きい土壌となっています。
アヅミンはこうした土壌においても、有効な腐植酸を補給することによって、リン酸が容易にイオン化するようになります。